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原発「廃炉」地域ハンドブック

9784773720418

尾松亮(編著)乾康代・今井照・大城聡(著)

出版年月
2021年3月
ISBN
978-4-7734-2041-8
判型・ページ数
46判・240ページ
定価
本体2,300円+税
在庫
あり

本の内容

これからの「廃炉」の話をしよう。

日本の廃炉決定原発はすでに24基。日本は「大量廃炉時代」に入ったと言ってよい。

しかし、地域の経済を支えてきた原発が廃炉となったとき、その立地地域で何が起きるか、日本は、まだほんとうには経験していない。
国の対策方針も、まだない。

アメリカの事例では、税収の激減、雇用の喪失により、地域社会は危機に瀕し、廃炉作業中は事故リスクへの対応も迫られている。最後に、使用済み核燃料を何十年にもわたって保管する、という、先の見えない難題も待ち受ける。

何をすれば、原発廃炉の衝撃から地域を救えるのか、海外事例の研究と、日本のための政策を提案する、日本で最初の書。

原発立地の自治体、住民の方必読!

目次

 序章 廃炉は地域の「自分ごと」
  1. 「廃炉」が社会問題として意識されにくい四つの理由
  2. 〈住民参加〉と〈国の関与〉のあり方

第1部 世界の廃炉地域で何が起きたか
 第1章 アメリカの廃炉地域
  ケーススタディ1 使用済燃料を押し付けられる「廃炉後」の町 メイン州ウィスカセット町
  ケーススタディ2 住民不在で「完了」へ突き進む イリノイ州ザイオン市
  ケーススタディ3 新参廃炉事業者に脅かされる地域住民の安全 マサチューセッツ州プリマス町
 第2章 その他世界の廃炉地域
  ケーススタディ4 地域再生の視点なき「国策国営」廃炉 ロシア・ビリビノ市
  ケーススタディ5 地域を再生に導いた工業団地 ドイツ・ルブミン村
 第1部まとめ
 
第2部 日本の廃炉に備える
 第3章 廃炉決定プロセスの現在地
  1. 廃炉が決まるとき
  2. 同意する「地元」とは何を指すか
  3. 女川原発の再稼働はどのように決まったか
  4. 住民の意思との切断
  5. 新潟県が進める原発事故の検証作業
  6. 住民投票の制度化を
 第4章 廃炉時代の地域防災
  1. 範囲拡大・インフラ拡充でも実効性に課題
  2. 「廃炉決定後」も続く事故のリスク
  3. 懸念される「廃炉中」の防災縮小
  4. 「廃炉時代」を見据えた地域防災制度作りを
 第5章 日本でも進む廃炉の「不透明化」
  1. 地域が監視すべき事柄とは
  2. 日本における地域からの廃炉監視
  3. 廃炉プロセス「不透明化」の罠
 第6章 「廃炉基本条例」の可能性
  1. 廃炉を地域主導に変える鍵
  2. 「廃炉基本条例」素案
  3. 「廃炉基本条例」素案のポイント
  4. 条例の可能性
  5. 国策に使い捨てられないために
 第2部まとめ

 コラム1 原発廃炉のプロセスとは
 コラム2 「廃炉完了」とはどんな状態?
 コラム3 使用済燃料の保管が長期化する理由
 コラム4 「敷地外」の目から廃炉を規制する カリフォルニア州沿岸委員会
 コラム5 「廃炉」を理由にした地域防災プログラムの縮小を防ぐ
 コラム6 国による地域再生支援 英国原子力廃止措置期間

補論 事故原発に向き合う地域住民を守る制度
 1. 雇用と労働条件を守る特例法 チェルノブイリ廃炉拠点スラヴチチ市
 2. 市民が汚染水処分方針を変えた スリーマイル島原発「汚染除去」助言パネル

 編著者あとがき