コーカサスの紛争ゆれ動く国家と民族
富樫耕介(著)
- 出版年月
- 2021年3月
- ISBN
- 978-4-7734-2040-1
- 判型・ページ数
- 46判・364ページ
- 定価
- 本体3,200円+税
- 在庫
- あり
本の内容
「文明の十字路」は、なぜ流血の地となったのか。
黒海とカスピ海に挟まれた、アジアとヨーロッパの結節点〈コーカサス〉。
2020年に勃発したアルメニアとアゼルバイジャンの衝突、ロシア=ジョージア戦争、チェチェン戦争など、常に戦火が絶えない。
本書は、数々の紛争の発端と、対立が今なお続く理由をわかりやすく解説する。
複雑怪奇と言われるこの地の紛争を、さまざまな視点から重層的に解き明かす、決定版。
「地域紛争の増加」が世界で予測される中、本書は「紛争研究の基礎」を学ぶ教科書としても最適。
巻末には、2020年9月に再発し、多くの死者を出した「ナゴルノ・カラバフ紛争」の原因と経緯について詳細に分析した「補論」を収録。
目次
はじめに
第1部 南北コーカサスの紛争
序章
第1章 コーカサスの概観
(1)北コーカサス地域と民族の現状――ロシアの経済後発地域が抱えるテロなどの難問
(2)北コーカサスの概略史――ソ連形成期から解体まで
(3)南コーカサス地域と民族の現状――「若い独立国」の抱える分離主義問題と苦悩
(4)南コーカサスの概略史――ソ連形成期から解体まで
第2章 北コーカサスの紛争
(1)イングーシ・北オセティア紛争(1992 年 10 月〜11 月)
(2)第一次チェチェン紛争(1994 年 12 月〜1996 年 8 月)
(3)第二次チェチェン紛争(1999年9月〜2002年4月/2009年4月)
第3章 南コーカサスの紛争
(1)ナゴルノ・カラバフ紛争(紛争:1989 年1月~91 年 12 月、戦争:1992 年1月~94 年5月)
(2)南オセティア紛争(第一次:1991 年 1 月~92 年 7 月、第二次:2008 年 8 月 7~16 日)
(3)アブハジア紛争(1992 年 8 月~94 年 4 月)
第4章 コーカサスの紛争の比較理解――共通点と相違点
(1)コーカサスの紛争の比較理解
(2)コーカサスの紛争の平和的解決の可能性
第 2 部 コーカサスの紛争が投げかけるもの
第5章 北コーカサスにおけるイスラーム主義運動
(1)北コーカサスのイスラーム主義勢力と「グローバル・ジハード」
(2)北コーカサスにおけるイスラーム過激主義
(3)IS によって分裂と内紛へと向かう北コーカサスのイスラーム主義
第 6 章 未承認国家問題とコーカサス
(1)国際政治と未承認国家問題
(2)コーカサス地域の未承認国家の現状
(3)未承認国家問題の将来と平和的解決の可能性
終章
おわりに
コラム 1 目の前にある「失われた土地」――プリゴロドヌィ地区とイングーシ人
コラム 2 紛争の記憶と記録――チェチェンにおける公的・私的空間の歴史
コラム 3 「紛争の真実」?――カラバフ紛争をめぐるアゼル・アルメニア国民の想い
コラム 4 シリア内戦とロシア――マハチカラからグローズヌィへの道中
コラム 5 境界と検問――安全保障装置? 安定のバロメータ?
コラム 6 民族間の紛争?――民族は一枚岩ではなく多様な意見を内包
補論
参考文献