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ポスト・プーチン論序説 「チェチェン化」するロシア

ポスト・プーチン論序説_帯あり

真野森作

出版年月
2021年9月
ISBN
978-4-7734-2043-2
判型・ページ数
46判・286ページ
定価
本体2,300円+税
在庫
あり

本の内容

チェチェンはロシアの未来である

国内外で強権・強硬路線をひた走るロシアは、その実、内憂外患に悩む病める巨人である。その病理は、過激な“ミニ・プーチン”カディロフが統治するチェチェンにこそ見出すことができる。「チェチェンを通してロシアを見る」、第一線のジャーナリストによる野心的な「ポスト・プーチン」論。

1990年代から2000年代に二度の紛争を経験したチェチェン。力で抑え込まれたはずのこの地は今、ロシア中央政府の手が十分に行き届かない「内なる外国」と化している。プーチンを父のようにあがめ、極端に同調するカディロフのフリーハンドにゆだねられたことで、チェチェンはロシアをもしのぐ強権的体制が敷かれることになったが、カディロフの個人支配はプーチンの思惑を超えて暴走し始めている。その行く末はロシアの命運すら左右しかねない。

目次

序章 プーチンとチェチェン
プーチン政権二〇年とチェチェン/チェチェン略史/各章の紹介


第一部 カディロフのチェチェン

第一章 カディロフの「藩王国」
プーチンとカディロフ/復興都市グロズヌイを歩く/愛国バイク集団「夜の狼」/「夜の狼」チェチェン支部/カディロフの人物像/ロシア人研究者の分析

第二章 異境化するチェチェン
コロナ危機下のチェチェン/カディロフの論理/風刺画事件のデモ行進/警察幹部の重婚騒動/歪められるチェチェンの伝統/カディロフ、〝聖なるファミリー〟/人権活動家のカディロフ批判/カディロフツィとカディロフ基金

第三章 紛争からの復興
グロズヌイの摩天楼/チェチェン庶民の本音/少数派のロシア人住民/トラウマに苦しむ大学生/戦争を知らない子供たち/語られる戦争、語られない戦争/チェチェン経済のからくり/観光産業への期待/絶景の湖畔リゾート/観光地チェチェンの不安要素


第二部 「越境」するチェチェン

第四章 やまぬ暗殺とテロ
ネムツォフ元副首相暗殺事件/守られたチェチェン上層部/ヤマダエフ、リトヴィネンコ、ポリトコフスカヤ/連鎖する暴力

第五章 チェチェンの新たな紛争
「イスラム国」から帰ってきた男
警察長官は語る/シリア内戦とチェチェン/ウクライナ東部紛争とチェチェン/なぜチェチェン人は紛争へ引き込まれてしまうのか?

第六章 「チェチェン化」するロシア
ガンヌシキナの喝破/ゴルバチョフの予言/ソチ五輪と双頭の鷲/ロシアの同性愛者抑圧/「チェチェンにゲイは存在しない」


終章 ポスト・プーチンと「火薬庫」チェチェン
プーチンの爆弾発言/ロシア内政の激動/「終身大統領」にかじを切ったプーチン/プーチンの「恐怖」と「安定」の代償/「火薬庫」チェチェン/深まるロシアの内憂外患/未だ少数派のデモ支持層/「アラブの春」とロシアの違い/時間との闘い

あとがき

主要参考・引用文献